F1世界選手権

F1世界選手権

F1世界選手権の紹介

F1(Formula One、フォーミュラ・ワン)とは、モータースポーツのカテゴリの1つで、また、その世界選手権のことです。フォーミュラ(Formula)とは、全参加者および参加車両が準拠しなければならない一連の「規定」を意味します。

F1レース専用の車両は、参戦チームがテクニカルレギュレーションに則って独自に制作されます。タイヤ、シャシー、エンジンなど、様々な技術的規定があり、クリアしないと出走が認められません。

また、走行中のマナーなどの取り決め(スポーティングレギュレーション)もあり、違反するとペナルティを課せられます。

F1レースは年間を通じて世界各地を転戦し、各レースごとの順位によって与えられたポイントの総計で、その年のチャンピオンを決めます。

各レースを「グランプリ」と呼び、イギリスグランプリ、アメリカグランプリなどがあります。

グランプリは金曜日から日曜日にかけて開催されます。金曜日にフリー走行をして車のセッティングをし、土曜に予選、日曜に決勝を行います。

予選では、各車が一定時間内で自由に走行を行い、1周の最速タイムを競い合います。

Q1、Q2、Q3と3回のセッションに分かれ、ノックアウト方式で決勝レースのスターティンググリッド(レース開始時の順番)を決めます。

・Q1では、20人出走で下位の16位~20位が決定。上位15人はQ2に進出。

・Q2では、15人出走で下位の11位~15位が決定。上位10人はQ3に進出。

・Q3では、10人出走で1~10位が決定。

決勝では、ペナルティが課せられた場合を除き、基本的に予選の順位に沿って各選手のスタート位置が決められます。走行距離は、「305kmを超える最も少ない周回数」というルールがあります。

例えば、日本グランプリが行われる鈴鹿サーキットの1周は5.807kmなので、周回数は53周で、総距離は307.471kmです。

規定の周回数を最初に走破した選手が優勝となり、その後の順位は走破した周回数とその時間により決まります。上位10人は順位に応じてチャンピオンシップポイントが加算されます。

F1世界選手権の歴史

1906年、初の四輪グランプリである「ACFグランプリ」がフランスで開催されました。

その後、車輌重量やエンジン排気量などの規定が徐々に整備され、ヨーロッパ各地でグランプリが開催されるようになりました。

1930年代、ヨーロッパ・ドライバーズ選手権が発足しましたが、第二次世界大戦の勃発により余儀なく中断させられました。

終戦後の1946年、国際自動車連盟(FIA)の国際スポーツ委員会が新たなレーシングカーの規格を制定し、その中で最高峰に位置するのがフォーミュラAと呼ばれましたが、後にフォーミュラ1に定着しました。

1947年には新規定下でグランプリが再開されました。

1949年、世界各国のグランプリからプライオリティの高いレースを選手権対象レースとし、レースごとの成績に応じて与えられたポイントの年間合計により年度のチャンピオンを決めるという、世界選手権の構想がだんだん固まり、1950年からの開催も決定されました。

F1世界選手権
当初のF1は、ほとんどヨーロッパのグランプリと、世界選手権という名目上組み込まれたアメリカのレース一つで構成されていました。

また、選手権タイトルはドライバーのみでしたが、1958年から製作者タイトルも設定されました。安全性がほとんど重視されていないこの時代では、コースが整備されておらず、選手を守るものはヘルメットだけでした。

1955年、ル・マン24時間レースでメルセデスチームのレースカーが観客席に飛び込み、87人もの死者を出す事故が起きたことを受け、それまで好戦したメルセデスはF1から撤退し、しばらくモータースポーツから遠ざかることになります。

それから、レースカーの技術進歩により、F1の競争が更に加速化していき、1980年代ではターボ一色の時代となりました。

しかし、1990年代、立て続けに起きた選手の死傷事故から、F1はスピードを落とし安全面を図る方向に進み、様々なスピード抑制対策が実施されました。

2000年代に入ると、ヨーロッパ以外の新規開催国でのグランプリが増加し、それに伴い年間のレース開催数も増え、2016年には史上最多の年間21戦に達しました。

その後、2020年、新型コロナウイルスの流行により、多くのグランプリが中止になり、年間開催数が17戦へと減少しましたが、2021年からは年間20戦以上に戻りました。

まとめ

F1は、自動車技術の最高峰の場で、常にハイスペックな戦いが繰り広げられています。近年のF1は、環境問題への配慮を求められたこと、世界的経済不況の影響でスポンサーの撤退が相次ぐこと、そしてレースのマンネリ化で人気が下火になったと言われています。

しかし、ここ数年、F1チームはテクノロジー企業と携わるようになり、そして、Netflixのドキュメンタリー番組がもたらした話題性で、新たな盛り上がりを見せようとしています。多くの人々の心を動かしてきたレースを、自分で観戦してみるのはどうでしょうか。